はじめに

 在宅勤務を基本的な勤務体制とする企業が増えるなか、電子契約サービスの導入を検討されている企業は多いと思います。私が勤める会社も2020年に、新型コロナウィルスのパンデミックに伴う在宅勤務を契機として、電子契約サービスの導入を検討しました。

 今回は、私が勤める会社が、数多くある電子契約サービスのなかから、なぜGMOグローバルサイン・ホールディングス社が運営する電子契約サービス「電子印鑑GMOサイン」(旧名称:「GMO電子印鑑Agree」)を選択したのか、上場企業法務部として電子契約導入プロジェクトに携わった経験から、解説していきたいと思います。

電子契約サービス「電子印鑑GMOサイン」を選んだ理由

 現在、多種多様な電子契約サービスがあると思いますが、私が最終的にGMOサインを選択した理由は、主に以下の理由になります。

ポイント

  • 立会人型だけでなく当事者型にも対応していること
  • 登記申請書類に利用できるサービスであること
  • 電子帳簿保存法に準拠したサービスであること

 GMOサインを選んだ理由は、他にも様々な理由がございますが、特に重要な上記3つのポイントにしぼって順に解説していきたいと思います。

(1)立会人型だけでなく当事者型にも対応していること

 一つ目の理由は、電子印鑑GMOサインが、立会人型電子署名(契約印タイプ)だけでなく、当事者型電子署名(実印タイプ)に対応しているという点です。

 電子署名には、主に当事者型の電子署名と、立会人型の電子署名があります。当事者型とは、契約当事者本人が、電子署名を行う方法をいいます。これに対して、立会人型は、契約当事者に代わって、電子契約サービス業者が、電子署名を行う方法をいいます。

 導入検討当時は、当事者型か立会人型かで、電子署名法第3条により、真正に成立した文書と推定されるか否かという違いがありました。つまり、証拠力に差があったのです。

 「真正に成立した文書」とは、文書の名義人によって間違いなく作成された文書という意味です。当事者型の場合、電子署名を行っているのは契約当事者本人なので、当該契約書は、電子署名法第3条により、間違いなく契約名義人によって作成された文書と推定されます。これに対して、立会人型は、電子署名を行っているのが電子契約サービス業者なので、電子署名法第3条による推定の効力が認められるか不明確でした。

 このような事情があったことから、将来的にM&A等のような重要な契約書でも電子契約で締結することを想定した場合、立会人型の電子署名だけでなく、証拠力が高い当事者型の電子署名にも対応しているサービスを選定する必要がありました。

 当時、電子契約サービスのほとんどが立会人型の電子署名のみで、当事者型の電子署名にも対応しているサービスはあまりございませんでした。そのようなか、電子印鑑GMOサインは当事者型の電子署名にも対応していました。

 このことから、証拠力の高い電子署名を行うことができる電子印鑑GMOサインは、他の電子契約サービスに比べて優れている点と感じました。

 なお、2020年9月4日付で総務省、法務省、経済産業省の三省連盟で、立会人型の電子署名についても、電子署名法第3条の推定の効力が及び得るという解釈が表明されました。これにより、従来に比べて、当事者型か立会人型かという観点の重要性は少し薄れたかもしれません(以下【関連情報】「 利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A 」参照)。

 しかし、電子署名法第3条は、あくまでも「推定する」と記載されているにとどまり、「見做す」とまでは記載されていないため、契約相手が自己の電子署名に基づくものでないことの立証に成功した場合、証拠として認められない可能性は十分にあります。この場合、本人確認を行っている当事者型の方が、本人確認を行っていない立会人型に比べて、やはり証拠力が高いといえることにかわりはないと考えられます。

 ですので、こういった意味で当事者型の電子署名にも対応できるサービスは、いま現在においても重要なポイントであるといえるでしょう。

【関連情報】
利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A

(2)登記申請書類に利用できるサービスであること

 2つ目の理由は、電子印鑑GMOサインが、オンライン登記申請における法務局指定のサービスであるという点です。

 電子契約サービスの導入を検討されている方のなかには、契約書だけでなく取締役会議事録等のコーポレート書類も電子化することを考えられている方もいると思います。

 会社法上、取締役会に出席した取締役及び監査役は、当該取締役会の議事録に署名又は記名押印をしなければならないこととされています(会社法第369条第3項)。また、当該議事録が電磁的記録をもって作成されている場合には、署名又は記名押印に代わる措置として、電子署名をすることとされています(同条第4項、会社法施行規則第225条第1項第6号、第2項)。

 この「電子署名」に立会人型電子署名も含まれるのかについて従来解釈がわかれていましたが、法務省は、2020年5月29日付で、立会人型電子署名についても、取締役会議事録の「電子署名」として有効に認められるという新たな見解を表明しました。

 このことから、取締役会議事録に取締役や監査役が立会人型電子署名を施した場合でも、会社法上有効なものと取り扱われるようになりました。

 ただし、会社法上有効なものとして取り扱われるからといって、登記申請上も有効な書類として取り扱われるかは別の問題になります。

 ご存知のとおり、取締役議事録は登記申請の添付書類として利用されることがありますが、取締役議事録を電子化した場合、登記申請は、窓口申請ではなく、オンライン申請にする必要があります。オンライン申請では、添付書類に電子署名が求められている場合、どの電子契約サービスに基づく電子署名でも認められるというわけではなく、法務省指定の電子契約サービスに基づく電子署名を施している必要があるのです。どの電子契約サービスが指定されているかについては、詳しくは、以下【関連情報】記載の法務省「商業・法人登記のオンライン申請について」をご覧いただきたいのですが、「電子印鑑GMOサイン」は法務省指定のサービスに含まれております。

 このことから、取締役議事録等のコーポレート書類についても電子化を検討されている場合は、法務省指定のサービスを選択することが非常に重要となります。

【関連情報】
法務省「商業・法人登記のオンライン申請について」

(3)電子帳簿保存法に準拠したサービスであること

 最後の理由は、電子印鑑GMOサインが、一般財団法人日本データ通信協会が認定するタイムスタンプを使用しており、電子帳簿保存法に準拠しているという点です。

 電子帳簿保存法とは、電磁的方法により作成された国税関係帳簿書類の保存方法に関するルールを定めた法律です。電子契約データも、電磁的方法により作成された国税関係帳簿書類に含まれますので、本法律が適用されます。

 電子帳簿保存法では、電子契約サービスで契約を締結する場合、以下のいずれかの方法により電子契約データを保存する必要がございます。

保存要件

  • ①当該取引情報の授受後遅滞なく、当該電磁的記録の記録事項にタイムスタンプを付すとともに、当該電磁的記録の保存を行う者又はその者を直接監督する者に関する情報を確認することができるようにしておくこと
  • ②当該電磁的記録の記録事項について正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程を定め、当該規程に沿った運用を行い、当該電磁的記録の保存に併せて当該規程の備付けを行うこと。

 タイムスタンプとは、電子契約データが改ざんされないように、第三者である時刻認証局が当該電子契約データに時刻情報を付与する機能をいいます。電子契約サービス内には、基本的にタイムスタンプを付与する機能があるため、電子契約サービスの導入を検討される方は、①の方法により保存することになるかと思います。

 しかし、ここで注意が必要な点があるのですが、電子帳簿保存法は、タイムスタンプを付与する方法により電子契約データを保存する場合、当該タイムスタンプが、一般財団法人日本データ通信協会の「タイムビジネス信頼・安心認定制度」の認定を受けているタイムスタンプであることを要求しております。つまり、タイムスタンプであれば何でもよいというわけではないのです。

 このことから、電子契約サービスを選択する際は、一般財団法人日本データ通信協会が認定するタイムスタンプを使用しているかを事前に確認しておく必要があるでしょう。仮に非認定のタイムスタンプを使用している場合は、別途認定を受けているタイムスタンプを付与する必要がございます。

 国内の電子契約サービスは、ほとんど一般財団法人日本データ通信協会認定のタイムスタンプを利用していると思いますが、海外の電子契約サービスの利用を検討されている方は、電子帳簿保存法に適合していない可能性もございますので、注意が必要です。電子印鑑GMOサインは、もちろん電子帳簿保存法の要件をみたしております。

 以上のことから、国内企業において電子契約サービスを導入しようとする場合は、電子印鑑GMOサインのような、電子帳簿保存法に準拠したサービスを導入するべきでしょう。

【関連情報】
JIIMA「電子帳簿保存法第10条 「電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存」に関する解説」

まとめ

 電子印鑑GMOサインを選んだ主な理由をあらためてまとめますと、以下のとおりになります。

ポイント

  • 立会人型だけでなく当事者型にも対応していること
  • 登記申請書類に利用できるサービスであること
  • 電子帳簿保存法に準拠したサービスであること

 いかがでしょうか。電子契約サービスの導入を検討されている企業にとっては、いずれも重要なポイントではないでしょうか。このようなポイントについてよく検討せず、導入後に予想外の問題が発覚してしまった場合、電子契約サービスを変更しようにも、既に締結済みの電子契約データをどうすれば良いか等、様々な問題が派生的に生じ得ます。このようにならないためにも、電子契約サービス導入前に各社のサービスをよく比較検討することは重要かと思います。

 電子契約サービスの導入を検討される場合は、まずは各社電子契約サービスの資料請求からはじめられることをおすすめします。 電子印鑑GMOサインについては、以下のWEBサイトから資料請求できます。こちらの資料は、電子契約サービスについて、法的観点から詳しく説明されており、弁護士や企業法務担当者の方にとっても非常に読みごたえのある資料だと思いますので、是非ご覧になってみてください。

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著者プロフィール

SHIMON

所属:上場企業法務部
資格:行政書士、ビジネス実務法務検定1級等

【経歴】
 大学院を卒業後、ITベンチャー企業に入社。契約書の作成・審査や法令調査等を経験。その後、上場企業の法務部門に転職し、前職の業務に加え、知的財産の取得や、M&A等も経験し、現在に至る。

【執筆記事】
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